演劇最強論-ing

徳永京子&藤原ちから×ローソンチケットがお届けする小劇場応援サイト

Produce lab 89『夢十夜を遊ぶ夜』─小説『夢十夜』を、鳥山フキが好きにする─

公演情報

2015.06.13


series-dreams

再演に向けて
構成・演出:鳥山フキ

昨年の作品の再演です。

前回のコメントでは夢十夜という話についてあれこれ書きました。今回は夢について書こうと思います。

私はトイレの夢をよく見ます。最近見たのは泉みたいなトイレの夢です。大きい泉みたいな空間で、常に足元を水が流れていて、上からもジャージャー水が降ってくる、そんな変なトイレです。
トイレの夢を見ると気になって、夢占いで調べます。「排泄物が便器に残っている夢
は、仕事運・金運のアップを暗示する大吉夢です。「汚れたトイレの夢
は、無駄遣いが多く身辺の整理もできておらず生活習慣も乱れているため、トラブルに巻き込まれたり、体調不良を引き起こすことを暗示しています。(ネット調べ)
いつもカテゴリ分けに困ります。夢占いだと「トイレットペーパーがない夢」とか「トイレが丸見えになる夢」とか色々あるんですが、そんなキレイにあてはまる夢は、なかなか見ないんですよね。でも比較的汚いトイレの事が多いですかね。

他人の夢の話ってホントにどうでもいいですよね。自分にとっては大事ですが。
夢が生活で溜まった感情を処理してくれているんでしょうね。だから自分にとって、個人的にすごく大事になってくる。私は似たような事で、頭がすごく混乱している時、わざと熱を出して解決してたことがありました。熱が出て、引くと、もつれた糸がほどけていていい状態になっている。理屈じゃ説明できないんですけども。

漱石が夢の話を書いたのも、漱石って意外と、とっても混乱しているんじゃないかと思ったんですね。他の話でも主人公がすごくオタオタしていたりする。
私も混乱しやすい人間です。パニックになりやすいんです。だからすごく近い感じがしました。

混乱したりパニックに陥ったり、あといわゆる「悪」の部分もありますよね。
前回のコメントで夢十夜について「男性が遭う理不尽の話」と書きましたが、だからといって男性が被害者って訳でもないんですよ。オタオタしてるようで、実はオタオタしてるフリだったりして、結構悪い。諸悪の根源とは言いませんが、そうそう善人って訳でもない。
辛かったり苦しかったり、罪悪感とか、自分で持て余しているものを無意識のうちに夢が消してくれる、均してくれる、そういうところがあるのかなと思います。

なんだか真面目なコメントになりましたが、楽しい劇です。自分の普段の作品に比べると、ぐっと格調高くなっています。出演者も素晴らしいです。夢にはオチがなく、リアルな感触だけがあります。

構成・演出:鳥山フキ(ワワフラミンゴ)
音楽:小島ケイタニーラブ

出演:原口茜、多賀麻美、柳沢茂樹

■日程:2015/7/3[金]~4[土]
■会場:新世界(西麻布)
■料金:2,500円(全席自由)+ドリンク代

徳永京子WORKS

演劇ジャーナリスト。1962年生まれ。東京都出身。雑誌、ウェブ媒体、公演パンフレットなどに、インタビュー、作品解説、劇評などを執筆。09年より、朝日新聞に月1本のペースで現代演劇の劇評を執筆中。同年、東京芸術劇場の企画委員および運営委員に就任し、才能ある若手劇団を紹介する「芸劇eyes」シリーズをスタートさせる。「芸劇eyes」を発展させた「eyes plus」、さらに若い世代の才能を紹介するショーケース「芸劇eyes番外編」、世代の異なる作家が自作をリーディングする「自作自演」などを立案。劇団のセレクト、ブッキングに携わる企画コーディネーターを務める。15年よりパルテノン多摩で企画アドバイザー、17年からはせんがわ劇場で企画運営アドバイザーを務めている。読売演劇大賞選考委員。