岡崎藝術座『イスラ!イスラ!イスラ!』(12/3~)
公演情報・チケット販売
2015.11.7
この川におまえが落としたのは、金の人間か、それとも銀の人間か。固有種か、それとも外来種か。
おまえが怖い、いつかおまえがわたしの皮を剥ぎ、競売にかけ、肉を捨て、目玉をアクセサリーにしてしまうかもしれない。わたしの家族を殺して焼いてしまうかもしれない。永遠の川底で、終わらないディスカッションを始め、言語を理解せず、やさしい顔をして、過去の自分のふがいなさにいつまでもしがみつき、わたしの乳首をちょん切り、愛撫をかまし、役人風のいでたちでにやにや笑うかもしれない。終わらないごっこ遊び、濡れた幕。スキューバダイバーが酸素を吸いながらそのさまを見ている。おまえがわたしを好きにするのを。とんちんかんな言葉をつかって、とんちんかんな腕の動きをするのを。
ワニはたくさんしゃべって疲れたのか、陸にあがってきたので、わたしはたくさんのエネルギーを集めて、自分で建てた小屋まで走って逃げた。ワニはのそのそ後からついてきた。午後の太陽が赤くて厳しい。そんなときにあいつらはやってきたのだ。(戯曲より)
* * *
ペルー生まれ、パラグアイ、アメリカ、日本(川崎)育ち。沖縄、北海道、リマ、ネバダ、所どころに暮らす親族。
多文化・多言語に囲まれた環境にいた劇作家・演出家の神里雄大は、日本に暮らす人々の多様な差異や背景と、移民・
移動して生きていく人々の姿に焦点をあて、創作を続けています。
本作『イスラ! イスラ! イスラ!』では、さまざまな文化や言語や政治などが外部から持ち込まれ、そのなかで衝突、融合、変貌していく架空の島々(Isla。スペイン語)というイメージを核とし、モチーフを集めました。なかでも、高知出身の2人ーージョン万次郎 (1827-1898)の生涯や、戦後大流行したマンガ「冒険ダン吉」のモデルとも噂された実業家・森小弁 (1869-1945) の外への関心を持ち続けた姿勢は、他者への無理解や排他的な雰囲気の強い現代日本にとって重要な意味を持ち、近年神里が考察している「他者との共生」という問題に繋がっています。
世界に目を向ければ、街に移民が溢れ、国籍や国境の境界線を越えた共生の可能性が問われています。「島」というモチーフと共生への追求によって、いま岡崎藝術座はどんな世界を提示するのでしょうか。ご期待ください。
作・演出:神里雄大
出演:稲継美保、嶋崎朋子、武谷公雄、松村翔子、和田華子
■日程・会場・料金:
≪熊本公演≫2015/12/ 3[木]~4[金] 会場:早川倉庫 一般:2,000円、学生:1,800円、ペア:3,500円
≪京都公演≫2015/12/17[木]~20[日] 会場:京都芸術センター 一般:2,500円、学生:2,000円、ペア:4,500円
≪東京公演≫2016/1/9 [土]~17[日] 会場:早稲田小劇場どらま館 一般:3,000円、学生:2,000円、ペア:5,500円
≪横浜公演≫2016/2/3 [水]~8[月] 会場:STスポット 一般:2,800円、学生:2,000円、ペア:5,200円
*横浜 2/6~2/8の13:00の回は、前作『+51 アビアシオン,サンボルハ』を上演いたします。「人々の移動と他者の集まる社会」というテーマのもとに新作と兄弟的な作品に位置づけられます。
<熊本公演>アフタートーク情報
12/4[金]19:30 岡田利規(チェルフィッチュ)、小田崇仁(高校3年生)
<京都公演>アフタートーク情報
12/17[木]19:30 山田創平(社会学者)、神里雄大
12/18[金]19:30 神里雄大
12/19[土]15:30 小川さやか(文化人類学者)、神里雄大
※今後もゲストが決まり次第発表していきます。
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