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【連載】ひとつだけ 藤原ちから編(2015/12)―Theater ZOU-NO-HANA 2015(シアターゾウノハナ)

ひとつだけ

2015.12.2


あまたある作品の中から「この1ヶ月に観るべき・観たい作品を“ひとつだけ”選ぶなら」
…徳永京子と藤原ちからは何を選ぶ?

2015年12月 藤原ちからの“ひとつだけ” Theater ZOU-NO-HANA 2015(シアターゾウノハナ)
2015/12/4[金]~23[水祝]の金・土・日・祝日 神奈川・象の鼻テラス

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* * *

今年もやってきましたTheater ZOU-NO-HANA(シアターゾウノハナ)! 柴幸男(ままごと)が総合演出として、多彩なメンバーと一緒に「パフォーミング・パーク(演劇的公園空間)」つくりだしていく企画。2013年から毎年この時期に横浜・象の鼻テラスで開催されている。

去年はわたしもメンバーとして「ゾウノハナたいそう」を踊ったり、「ゾウノハナスイッチ」に参加したりした。特に「海の見えるコタツ」を運ぶ儀式に参列した時、いったい自分はいい歳こいて何をやっているのだろう……と可笑しくもなったが、あの海辺の広々とした空間でそうやって身体を動かすことで、たまたま通りすがる人たちを、一瞬とはいえ不思議な時間に招待するのは、すごく愉快で楽しい体験だった。いや正確に言えば、魅力的な他のパフォーマーたちが生み出していく時間・空間に、わたしも混ぜてもらって楽しんだ、ということなんだけれども……。

Theater ZOU-NO-HANAがいかに先駆的な試みであるかについては、昨年「シノドス」という媒体に動画や画像付きで詳しく書いたのでここではさらりとした紹介にとどめたい。ひとことで言うと、柴幸男とその仲間たちが生み出そうとしているのは、「演劇とすれ違う」状況である。別に観劇目的で来たわけではない人たちが、偶然この「演劇的公園空間」に出会い、ちょっとした奇跡に触れる瞬間を、わたしは何度も目にしてきたのだった。

今年は新たに「ランチリーディング」や「クルーズ」も加わり、「上演時間や演者がハッキリいる演劇が好き!」というタイプの観客にも馴染みやすさが増すのではないだろうか。

つまり、いわゆる演劇を目当てにしてきた人たちと、偶然通りすがる人たちとが、この場所で出会い、同じ時間を共有することになる。

まあ、何はともあれ、海辺は気持ちいいのだ!

願わくば、ただまったりと海辺のカフェで1日を過ごすような心持ちで、訪れてみてほしい。アトラクションのない時間帯でも、「聴くだけ!3分旅行」のような常設コンテンツを自由に楽しむことができるし、ひたすら「海の見えるコタツ」に入ってぼーっとして、大さん橋から出航する船を見守るのもいいだろう。なんでもない無為な時間こそが、この「演劇的公園空間」に魅力をもたらしている。その時間を生み出しているのは、素敵なパフォーマーたちと、そして何らかの理由であの場所に集まってくる人たちである。


蛇足ながら最後に宣伝を。わたしがプログラム・ディレクターを務める本牧アートプロジェクトとの連携企画のバスツアーが12月12日にあります。限定50名!普通に市営バスでハシゴする場合も、象の鼻周辺(「日本大通り県庁前」から8、58系統、「市庁前」から99、101、105、106系統)から本牧の「和田山口」停留所までは、わずか15分程度。あなたの知らない横浜を、ぜひ堪能してください。本牧アートプロジェクトはローソンチケットでの取り扱いです。

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ままごと

2009年に、劇作家・演出家の柴幸男によって旗揚げされた、柴幸男の作品を上演する団体です。近年は小豆島や公園など公共空間で、“その時、その場所で、その人たちとしかできない演劇”を模索しています。 演劇を「ままごと」のようにより身近に。より豊かに。 ★公式サイトはこちら★