【特集】名作舞台、映像になって再び劇場へ。
名作舞台、映像になって再び劇場へ。
2024.02.19
劇場で出会った、新しい観客と舞台映像アーカイブの可能性。
2020年に設立され、舞台映像の収集とアーカイブ化、収録の推進、画質と音質の向上、視聴の活性化などに取り組んでいる団体、EPAD(イーパッド、緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業)。『演劇最強論-ing』では、2年前からその活動を追いかけてきたが、2023年度もまた、注目すべきアクションを確認する年となった。これまでは配信という形の視聴だったのが、アーカイブ化された舞台の収録映像が何本も、劇場で上映されたのだ。
言ってみれば、アーカイブ化された舞台映像が倉庫を飛び出して劇場に飛び出したのだ。それは、さまざまな理由で上演が観られなかった人へのフォローだけでなく、「収録映像が劇場で出来ること」を考えるきっかけとなり、また、収録映像と観客が劇場で待ち合わせ出来ることも証明した。
シリーズ3回目となる今回は、上記企画の担当者であるEPAD事務局の林香菜、林真智子両氏の対談と、今年度収蔵・配信化をサポートしたラインナップからセレクト、視聴した5人(井原麗奈、関田育子、曽我部恵一、八木光太郎、徳永京子)のレビューを掲載。今後の視聴の参考にしてもらえれば幸いだ。
EPAD(緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業)サイト
https://epad.jp/
【特集1 対談】
2023年はEPADにとって大きな挑戦の年だった。「Re LIVE THEATER」と銘打った劇場での上映会と、アーカイブが視聴できる「鑑賞ブース」を各地で実施。配信メインだったこれまでの利活用から一歩踏み出した。また、すべての人の舞台作品へのアクセスを目指す「THEATRE for ALL」との連携により、「ユニバーサル上映会」を実施。これらはどのような成果をもたらしたのか。担当した二人に話を聞いた。
配信だけじゃない、劇場での上映から見えた「舞台映像の利活用」の可能性
林真智子氏(フリー舞台芸術制作者/EPAD事務局イベント広報担当)
林香菜氏(合同会社マームとジプシー代表/EPAD事務局イベント広報担当)
【特集2 配信作品レビュー】※順次公開予定
2023年度にEPADが収集した舞台作品のうち、121本が配信可能になる。語り継がれる名作舞台から、最新の若手の意欲作まで、多様な舞台が映像で見られるようになる。そのリストから1本を選んでもらい、レビューを書いてもらう。レビュアーは立場や専門の異なる5人。配信映像は鑑賞者にどんな経験をもたらすか。
・公益財団法人日本製鉄文化財団『琉球楽劇の創始者 玉城朝薫が紡いだ歌舞』×井原麗奈(芸術文化観光専門職大学 助教)
・範宙遊泳『さよなら日本-瞑想のまま眠りたい-』×曽我部恵一(ミュージシャン)
・チェルフィッチュ『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』×関田育子(劇作家・演出家、演劇ユニット[関田育子]主宰)
・特定非営利活動法人魁文舎 太田省吾原作 キム・アラ演出『砂の駅』×八木光太郎(俳優)
・ブルーエゴナク『眺め』×徳永京子(演劇ジャーナリスト)
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